第二十一話『感じる』

118 :影虎 ◆ufyC28b62o :2006/12/17(日) 00:42:23 ID:6hObzdE1O
【021/100】
「感じる」

友人と二人で、カラオケに行った時の事。

友人がトイレへ立った。次は私が行く予定だった。
帰ってきたと思えば顔が青い。
「どうしたの、顔青いよ」
「ん…トイレ寒かったよ」

とりあえずトイレへ向かう。
安いカラオケ屋はどことなく嫌な臭いがする。
トイレは、とても綺麗だった。でも、何か空気が重い。さっさと用を足して出よう…
そう決めて一番奥の個室へ。

…怖い。
怖い怖い。

気付いたら涙がぼたぼた落ちて、腰が抜けかけていた。
なのになかなか用が足し終わらない。

やっと止まったので、ジーンズを上げるのももどかしく、トイレを飛び出した。

ベルトも締めずに涙を流しながら部屋に入った私を見て、俯いていた友人は顔を上げた。
「…おかえり」
「…ただいま」
「あっちゃん(私)…トイレ、怖かった、よね」
「うん…」

そのトイレで、レイプ事件があったと知ったのは四日後だった。

【完】