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第八十九話『弟が小さいとき』

314 :高峰 ◆Seek1VG9hU :2006/12/17(日) 07:33:45 ID:IdQnVXNdO
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弟は小さいとき、夜中に目を覚ましては、
鎖がずるずる引きずる音がすると言って、耳を押さえておびえていた。
当時は自分もまだ十かそこらで、弟の尋常ではない血走った眼と、
ふう、ふう、と荒々しく繰り返す息遣いが恐くて、
弟をあやす母親の横で、布団の中に丸くなり、
弟の聴こえる音が耳に入らないように両耳を塞いでいた。

あるとき、インスタントカメラを父親が買ってきたので、
室内で撮り合いっこをすることになり、
自分を撮ってもらったり、弟を撮ったりと、
しばらく新しいおもちゃに夢中になっていた。

ひとしきり遊んで満足し、撮り終えた写真をまとめていたら、
弟の写真に異変があるのに気づいた。
弟が映っているはずのその一枚には、弟の顔の部分と腕の一部が映っていなかった。
本当にすぱっと、背景が普通に見えている。
更によく見ると、弟の後ろにはその場に居るはずのない人の、
剥き身の足や手まで見える。

気持ち悪くて、でも誰にも言えなくて、
その写真は折りたたんで、こっそりゴミ箱に捨ててしまった。

あれから20ウン年。
弟の夜中の奇妙な行動は引越しと同時に影をひそめ、
特に弟の身の上に怪異現象はなかったけれど、
ちゃんとお祓いしてもらっておけばよかったなと、
今でも心霊写真特集などを見ると思い出します。

【完】